Bahaシステムユーザーインタビュー ~Aさん~


実際にBahaシステムを使用している人のインタビューをお届けします。

筆者の考えるBahaシステムの効果が高いと思われる順番は

  1. 「両耳」×「伝音性難聴」
  2. 「片耳」×「伝音性難聴」
  3. 「片耳」×「感音性難聴」
  4. 「両耳」×「感音性難聴」

Aさんは、両耳小耳症で、①「両耳」×「伝音性難聴」のケースです。

Aさんは普段は耳穴式の気導補聴器を使用しており、長年耳漏(耳だれ)に悩まされていました。

耳の穴をふさぐ補聴器をつけると耳漏が悪化してしまう、 だけど補聴器をつけないと聞こえないのでつけないわけにはいかない。

このようなジレンマをずっと抱えていました。

Bahaシステムは耳の穴をふさがずに確実に音を拾うことができるので、この方ほど適している人はいないと思いました。

全く着用感がないので、数ある補聴器の中でも一番快適ではないかと思います

まず最初に、難聴の症状についてお聞かせ願えますか?

先天性両耳外耳道閉鎖です。

左耳は幼児期に外耳道形成、鼓膜・鼓室形成を行って、多少気導聴力を得られました。

しかし、植皮した部分が数回手術しても定着せず、現在に至るまで延々と耳漏が続く状態です。いわゆる後遺症が残ってしまいました。

ヘアバンド式骨導補聴器をしていた時期もありましたが、今まではもっぱら耳穴式気導補聴器を使用しています。

耳の中に水が入るのは厳禁で水泳等は不可でした。

補聴器も本当はつけないほうがよかったのでしょうが、先生はNoとは言いませんでした。(言えなかった?)

現在使用しているのはBAHA Divinoと以前から使っている耳穴式デジタル気導補聴器です。

実際にBahaシステムを使ってみて、良かったなと思える点はなんでしたか?

一番は「快適性」です。

耳漏が改善していない耳に補聴器を常時つけなくてもよくなったのが、私にとっては最大のメリットでした。

不快感と補聴器の消耗が激しいのが長年の悩みだったのが一挙に解決しました。

皮膚表面に接触しないというのが非常に快適で全く着用感がないので、数ある補聴器の中でも一番快適ではないかと思います。

ただし、それが危険でもあり、電源を切って着けたままにしていたら完全にBAHAシステムをつけていることを忘れてしまい、そのまま洗髪しそうになったことがありました。

私もよくやります(笑) 快適すぎるのも、逆にデメリットになることもあるんですね。

他に良かった点はありますか?

2つ目は「音量(パワー)」ですね。

気導聴力より良好な骨導聴力で聴けるので音量に余裕があります。

両耳装用が初めてだったので、両方の聴力を揃えると音の方向がわかるようになりました。

ステレオのような臨場感のある音もいいですが、長時間両耳装用すると慣れてないためなのか、音量調節が適切でないのか疲れることがあります。

両耳装用によるステレオ効果が得られるのは良いですね

他にありますか?

「外部入力が可能」という点ですね。

ipod等に接続して音をクリアに聞くことができます。

しかしコードやケーブルが少し煩わしいので、ワイヤレスで接続できるアクセサリがこれから充実してほしいと思います。

イヤホンみたいに、直接Bahaシステムにつなげられるのも大きなメリットですね。

私もそれで毎日音楽を聞いています。

他にも「ハウリングが改善」されたこと。

挿耳型補聴器をしていた時は、顎を動かす度にハウリングがありましたが(音量が大きいのと、顎を動かす度に耳の中の凹凸が変わるため)それも改善されました。

良いこと尽くめですね!

良いこと尽くめのようですが、機械なので当然困った点もあります。

騒音下では、補聴器で全部聞き取ろうとするのは難しいかもしれません。

どんなことに困っていますか?

1つは「音を拾う範囲」です。

Bahaシステムの装用位置のせいなのか(個人差はありますが、大抵耳の後ろ側、頭皮の部分に装用することが多い)後ろの音を拾ってくる感じで、前方より背後の音声の方がよく聞こえてきます。

なので対面型の会話は以前の補聴器より聴きづらいという実感があります。

また補聴器をしていない反対側から話しかけられた場合、挿耳型の時は90度向きを変えれば聞き取れたのが、Bahaシステムだと相手に背中を向けないと聞き取れないような感じで、不自然な格好になります。

そのため仕事中はあらかじめ両耳装用で対処するパターンになりつつあります。

騒音下では、正直言ってBahaシステムに限らず補聴器で全部聞き取ろうとするのは難しいかもしれません。

BAHA Divinoにはマイク切替スイッチがあり、指向性マイクに切り替えることができます。

指向性マイクに切り替えると前方の音を強調するように他の方向からの音圧が減少するようになっていて、雑音が減少して前方の音声が聞き取りやすくなるようです。

確かに雑音が減少しますが、私にとっては音声も同時に減少しているように聴こえるため、あまり実用的ではない気がします。

それでも騒音下では指向性マイクの方が雑音が少ないので楽です。

確かに、騒音下での聞き取りは補聴器の最大の課題と言っていいかもしれないですね。

他にはありますか?

「音質」ですね。

以前使っていたデジタル式気導補聴器にくらべて音が硬く、音質はあまりよくないというのが正直な感想です。

一律にあらゆる雑音が入るのが耳障り。

ただ最新機種のBAHA INTENSOを試聴してみたところ、雑音が結構軽減されていたのでこの点に関しては今後良くなっていくかもしれません。

更に、「操作性」も課題だと思います。

サイズの割りにはツマミもレバーも小さ過ぎると思います。

しかも宙吊りで不安定なBahaシステムの小さいツマミはかなり操作しづらいです。

確かに、慣れに依存する部分が大きいかもしれないですね。

Bahaシステムそのものが邪魔になる時もあります

他にも「電話」に適していないというデメリットがあります。

受話器の送信部分を口元にあわせると受信部がBahaシステムまで届かない電話機がほとんどです。

Bahaシステムに届いたとしても、誘導コイル等があるわけでないので音は拾いづらいです。

気導補聴器並みに電話に対応できるようになって欲しいと思います。

なるほど、Bahaシステムの位置が比較的上部にあるので電話しづらそうですね。

「手入れ」が必要ということも困った点です。

大抵の場合、頭皮の部分にインプラントが埋め込まれるわけですが、術後は一生手入れが必要です。

人工物のインプラントと皮膚との間には、個人差はありますが垢が堆積して化膿したり、皮膚が伸びてくることがあるのでそれを防ぐためにブラッシング等のケアが必要になってきます。

私の場合、2日手入れを忘れると出血するようなので、お風呂に入る度にゴシゴシやってます。

これは、個人差が非常に大きいですね。

私の場合、正直言うと、一度もブラッシングしたことがないです。。。

最後に、「Bahaシステムが邪魔な時がある」ということですね。

耳の後方で出っ張っているBahaシステムなので、日常生活において意外なところでBahaシステムが邪魔になる場面があります。

今まで使えない場面に遭遇したのは、歯医者に行ったらヘッドレストにぶつかって使えなかった。

ニット帽がかぶれない、ゴーグルができない。といったところでしょうか。

被り物は大抵干渉すると思いますので、何かしらの工夫が必要です。

特に眼鏡を使う人は眼鏡のツルが干渉するかもしれませんので、インプラントを埋め込む位置に要注意ですね。

Bahaシステムユーザーだからこそ知ることができる、不便さや課題感を率直に話してくれて非常に参考になりました。

本当にありがとうございます!!

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